一度は捻挫を経験したことがあるのではないか?
といわれるくらい、足関節捻挫はスポーツでおこる怪我のなかでもとくに発生頻度が高いです。
そのためか軽視されがちで、病院に行かなかったり、十分な治療を行わずに競技復帰したために、後遺症(痛みの残存や腫れなど)や捻挫癖に悩む人が少なくありません。
またそれによりスポーツパフォーマンスの低下を招いてしまうケースもみられます。
その背景には、ケアやリハビリの重要性の認識が低いこと、捻挫の再発や後遺症に関する知識不足があり、「捻挫なら問題ないだろう」といった考えがあるからではないかと思います。
そこで今回は足関節捻挫について、受傷後にできる評価方法や、初期対応〜リハビリ、捻挫癖について解説していきます。
この記事では以下のことを学ぶことができます▼
・ 捻挫直後に確認しておきたいこと
・ 捻挫をしてしまったらどうしたらよいのか:初期対応とリハビリ、トレーニング
・ 捻挫癖を付けないために重要なこと
・ スポーツ復帰までにかかる時間
| 捻挫とは
捻挫とは、骨と骨の間に起こる急激なねじれや激しい外力による関節周辺の組織や靭帯の損傷のことをいいます。足関節の捻挫は、大きく分けて内反(土踏まずが上を向く動き)捻挫と外反(小指側が上を向く動き)捻挫に分類されます。そのなかでも足関節内反捻挫はもっとも頻度が高いです。
特にジャンプ動作を繰り返すスポーツで多く発生する傾向があり、バスケットボールでは79% 、バレーボールでは87%の選手が足関節捻挫を経験していると報告されています。

| 受傷場面
足関節捻挫は以下の場面で起こりやすいです。
✔︎ ジャンプの着地などで相手の足に乗り上げた時
✔︎ スライディングタックルを足関節の内側で受けた時
✔︎ 減速動作時
✔︎ 方向転換時
このなかでも、ジャンプの着地時に人の足の上に乗り受傷すると、重症である場合が多いです。
| 足関節捻挫の症状
足関節内反捻挫で、特に損傷を受けやすいのが前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)です(赤い丸の部分)。

ここを損傷すると外くるぶしの前部分が腫れ、痛みが生じます。また、足を下に向けたりつま先を内側に向ける動きでは、この部分に痛みが生じます。損傷がひどい場合は足関節全体が大きく腫れ、内出血を伴うことがあります。
捻挫直後ではなく、翌日に腫れることもあるので注意が必要です。
| 靭帯損傷の重症度
靭帯損傷はその程度によって、ⅠーⅢ度の3段階に分類されます。
✔︎ Ⅰ度損傷(軽い捻挫):靭帯の一部が損傷
当日もしくは2-3日で運動が可能なこともある。
歩行や軽い走行も可能。
✔︎ Ⅱ度損傷(重い捻挫):靭帯の一部が断裂
押した時の痛み、腫れが強く、歩けるが走れない状態。
医療機関でチェック、治療を受けた方が良い
✔︎ Ⅲ度損傷(重症):靭帯の完全断裂
押した時の痛み、腫れ、熱感、皮下出血が強い。
自分で歩くのがやっとか歩けない状態。
医療機関でチェック、治療を受けた方が良い。
| 捻挫後に確認するべきこと(骨折の確認)
大きなストレスがかかった場合は、靭帯が断裂したり骨折が生じるなど重症に至るケースもあります。骨折をしている可能性があるか無いかを簡易的に判断するために、ひとつの基準となるのがBuffalo rules(バッファロールール)です。
– 骨折の有無を判断するためのBuffalo Rule –
✔︎ 怪我した直後、1人で4歩続けて歩けない
✔︎ 変形がある
✔︎ A〜Dの部分を押して痛みがある(画像)

上記の内容に一つでも当てはまれば、骨折の可能性があるためレントゲン検査が必要となります。小学生以下の場合、靭帯は柔らかく、成長途中の骨は軟骨成分が多く弱いため、この年代の捻挫は特に注意が必要です。
また、実際にどの靭帯がどの程度損傷してしまっているのかは、医師による検査が必要になるため、受傷後は医療機関(整形外科)を受診しましょう。
| 捻挫の処置(応急処置)
足関節捻挫は受傷直後の初期対応が重要で、その後の治り方が変わってきます。
まず腫れを最小限に抑えるための応急処置として、RICE処置が推奨されています。
Rest(安静):
歩かない、無理をして運動をしない
Icing(冷却):
ビニール袋やアイスバッグに氷を入れて、患部を冷却
Compression(圧迫):
パッドを腫脹が予想される部位にあて、テーピングや弾性包帯で圧迫し固定
Elevation(挙上):
損傷部位を心臓より高く挙げる
| 捻挫後のリハビリ -なぜ捻挫は癖になるのか-
スポーツの怪我のなかでも、比較的軽度なものと捉えられがちな足関節捻挫ですが、再発率は全ての下肢の怪我における再発率の中で最も高いと言われています。
捻挫癖がついてしまう原因
・靭帯が治るまえにスポーツ復帰してしまう
・十分なリハビリ、トレーニングをしていない
・足関節の可動域や筋力が回復していない
足関節内反捻挫後は、靭帯損傷による関節の不安定性が生じ、受傷後の可動域制限や足関節周囲の筋力低下など、足の機能が低下してしまいます。その状態での時期を誤った競技復帰は、足関節の不安定感を増強させてしまい、靭帯の緩みや足の機能低下により同じように捻挫を繰り返すことになってしまいます。
痛みがなくなった段階で競技復帰してしまう人が多いのが現状ですが、捻挫癖をつけないためには、段階的なリハビリが重要になります。
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| スポーツ復帰までにどれぐらいかかる?
捻挫で損傷した靭帯の治癒には一定期間を必要とします。
また靭帯損傷の程度や合併している靭帯損傷、過去の捻挫回数によって目安となる復帰時期は異なります。
復帰までのおおよその期間
□ Ⅰ度損傷(軽い捻挫):1〜2週間
□ Ⅱ度損傷(重い捻挫):3〜4週間
□ Ⅲ度損傷(重症):5〜6週間
損傷部位の十分な治癒過程を経ずに、早すぎる競技復帰などで過度なストレスを受けた場合、靭帯の緩みをつくってしまい後遺症の発生や捻挫を再発しやすくなってしまいます。運動は休み、治療に専念しましょう。
| まとめ
適切な処置を受けることなく自らの判断で競技復帰するケースでは、後遺症や再発のリスクを高めてしまいます。
捻挫は受傷直後における初期対応、損傷した靭帯の治癒に合わせた負荷の設定、競技復帰に向けた段階的なリハビリテーションが重要で、捻挫の再発及び後遺症発生のリスクを軽減させることに繋がります。できるだけ早く医療機関の受診(スポーツ整形が良い)し、専門家の治療を受けることをオススメします。
以上の内容を参考にしていただき、足関節捻挫後の処置や再発予防につなげていただいたらと思います。