膝関節MCL|覚えておきたい解剖のポイント

膝関節のMCL(内側側副靭帯)は接触を伴うコンタクトスポーツはもちろん、着地や切り返しなどが多いスポーツにおいても損傷し、アスレティックトレーナーが対応することが多い靭帯の一つです。

MCLは膝関節の安定には必要不可欠な靭帯であり

応急処置やリハビリテーションなどのアプローチが不十分なまま復帰してしまうと


再受傷するリスクが高まり、最悪の場合、ACL損傷などの大きな傷害につながってしまう可能性もあります。

そういった事態を防ぐためにもMCLの特性を知ることはアプローチをするうえでも重要になり、機能解剖を理解することはとても大切なポイントになります。

そこで今回は膝関節のMCLの構造的な特性について解説していきたいと思います!

この記事の内容

この記事では

若手アスレティックトレーナーに向けに膝関節MCLの機能解剖・構造的な特性などについて解説しています。

膝関節MCLに対する知識を深めたいアスレティックトレーナーの方にはオススメの内容となっています。

ぜひ最後までご覧いただきスポーツ現場などでの活動の参考していただければ幸いです!


目次

MCLの機能解剖
MCLを構成する3つの線維
 ①浅層MCL
 ②深層MCL
 ③後斜靭帯|POL

MCLは治りやすい?
まとめ


MCLの機能解剖


はじめにMCLの機能解剖について解説していきたいと思います。

MCL( medial collateral ligament )
起始|大腿骨内側上顆
停止|脛骨近位内側部
主な機能|膝関節の外反・外旋の制動


MCLは大腿骨内側顆後方からやや前方に向かって脛骨の近位内側に付着する約9cm程度の靭帯です。

膝関節内側の静的安定機構として主に外反と外旋を制動する役割を果たします。

膝関節は伸展位では骨性の構造的安定性が高まりますが、屈曲位においては構造的安定性は低下します。


そのため膝関節屈曲においてはMCLによる安定性が求められることになります。

膝関節屈曲位において外反・外旋ストレスが過剰にかかり、MCLが耐えきれる強度を越えたてしまうとMCL損傷につながってしまうのです。

このMCLは独立した一つの靭帯ではなく

異なる性質をもつ3つの線維によって構成され、その特性の違いを知ることがアプローチをする上では非常に大切なポイントになります。

MCLを構成する3つの線維


MCLは独立した靭帯ではなく異なる特性をもつ3つの線維によって構成されます。

MCLを構成するそれぞれの線維によって特性が異なり、損傷部によっても症状や病態も変わるためその特性を理解することはMCL損傷などを対応する上では非常に大切になります。

①MCLの浅層|sMCL


MCLはまず大きく浅層と深層の二層に分かれています。


浅層の部分をsMCLと呼び

MCLの大部分を占める組織で強度が最も強い組織と言われています。


sMCL( superficial MCL)

大腿骨内側上顆から脛骨内側に付着
脛骨には近位部と遠位部に分かれて付着

MCLの線維の中でも最も強度が高い

脛骨近位部|関節裂隙から約1cm遠位に付着
主に膝関節の外反を制動

脛骨遠位部|関節裂隙から約6cm遠位に付着
主に膝関節の外旋を制動


sMCLはMCLの中でも最も強い剛性と破綻強度があり、膝関節の外反・外旋に対して最も高い制動力を有しています。

そのため、sMCLの損傷度が高い場合、外反不安定性が生じる可能性があります。

つまり

MCLにおいてsMCLが膝関節内側の安定に大きく関与する非常に重要な線維であると考えることができます。

②MCLの深層|dMCL


浅層にあるsMCLに対して、深層にある線維はdMCLと呼ばれます。


dMCL|(deep MCL)
sMCLの深部にあり、内側関節包が肥厚した線維
内側半月板に付着する


dMCLはsMCLの深層にあり内側半月板に付着すsMCLと比較すると長さが短い靭帯です。

dMCLは膝関節の運動中に付着する内側半月板の可動性に関係し、内側が関節内に引き込まれるのを防ぐ役割を果たすと言われています。

そのため

dMCLが内側半月板に付着するということは、

MCL損傷でもdMCLの損傷を伴う場合、付着する内側半月板の損傷も合併する可能性があるので注意が必要になります。



③後斜走靭帯|POL

POLはsMCLの後方内側に位置し、半膜様筋の遠位から走行する線維です。

POLのは関節包が肥厚した線維と言われており、関節包を介して半膜様筋や内側半月板とつながりを持ちます。

そのため膝関節の内旋にも関わり、半膜様筋などともに外旋を制動する働きが期待できます。

そのため

POLまで損傷が及んだMCL損傷の場合には、外旋方向への不安定性が生じる可能性があります。

その場合

POLとつながりをもつ半膜様筋などの機能を高めることが外旋方向への安定性向上には必須であると考えることができます。

下腿内旋トレーニング



このようにMCLは異なる特性を持つ3つの線維によって構成され、損傷した線維によって機能障害も異なりアプローチも変化してきます。

そのため

MRIなどの画像検査などに基づく診断と、その状態を把握することが適切なアプローチをするうえでは非常に重要なポイントになります。

MCLは治りやすい?


MCL損傷の特徴としてACL損傷と比較して手術適応となることは少なく、保存療法が多いということがあります。

その理由として

関節外靭帯であり自然治癒が見込めることが挙げられます。


関節外の組織では治癒過程においてフィブリン血栓が形成され、コラーゲン線維に取って代わる。

軟部組織損傷・障害の病態とリハビリテーションより


とされています。

※フィブリン|血液凝固作用をもつタンパク質



一方、ACLは関節内に存在する靭帯であり、フィブリン血栓は関節内では形成されず自然治癒が見込めないため、スポーツ復帰を目指す場合は多くが手術適応になります。

このような理由からMCLは自然治癒が見込みやすく、ACLと比較して手術適応が少ないということになります。

これはMCL損傷の対応するうえで、選手やスタッフと復帰までのプランを共有するうえでも覚えておきたい特性のひとつになります。


まとめ


以上、膝関節のMCLの機能解剖のポイントについてお話させていただきました。


MCLの特性を理解することはスポーツ復帰までのアプローチをする上では非常に大切ポイントの一つです。


基礎的な特性をおさえておくことでスポーツ現場での適切な応急処置などにもつながります。


スポーツ現場での活動の参考にしていただければ幸いです。


最後までご覧いただきありがとうございました!


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